びしょびしょの食器
台所に子ども達が入るのを嫌がった母。
流しには常に洗い物が溜まり、次の食事まで洗われることはなかった。
食事前に洗われるけれど、拭かれない食器達。
布巾のない家だった。
洗いたてのびしょびしょの食器と箸をぶんぶんと振って水気を切っていた。
子ども達それぞれが手伝っても、初めは喜ぶけど、戻す位置が違う等と言われ、次第に誰も手伝えなくなった。
汚い台所を改善したくても、母お気に入りの兄でさえも何も出来ず、汚い台所で作られた食事で私達兄弟は成長した。
ある日、拭かずに引き出しに戻された木べらにダニが大量に繁殖していたことがあって、あまりの気持ち悪さに吐いた。
母に伝えた。当然木べらは捨てられると思ったけれど、ちゃちゃっとすすがれ、木べらはまた引き出しへと戻された。