人の足を引っ張る言葉
ピアスを開けた。
ピアスを開ける気なんてなかった。
反抗心から開けた。
母親と決別する為に、大人になってから開けた。
中学生の時に、同級生が「ピアスを開けたいから高校は公立に行く」と言った。
衝撃!
怖くないの?って気持ちと、親は怒らないの?って、いろんなもの気持ちがないまぜになった。
中学になった頃から、母親がうるさかった。
「親からもらった身体に傷つけるなよ」って。
本当に口うるさく言われていたから、高校に入ってすぐにピアスを開ける子が身近にいるなんて、本当に驚いた。
「お母さん怒らないの?」と聞いてみたら、「ママがピアスの方がかわいいから開けなよって言うよ」と、これまた想定外の返事だった。
その子は高校に入ってすぐにピアスを開けて、おしゃれを楽しんでいた。
一方私は、色つきリップを塗っただけで、「色気づきやがって!」と叩かれて怒られて、持ち物も手帳も全部見られていた。
ピアスがかわいくて羨ましい、つけてみたい、私もかわいくなりたいって気持ちもあったけど、母が嫌う行為をしたかった。
もう、あなたの言うことを聞かないという意思表示で開けた。
だめだと言われていたことをするのは怖かった。
開けたら世界は変わると思っていたけど、変わらない毎日があった。
母親があんなに口うるさく反対していたことは、ただの、母の好き嫌いだったことを知った。