残ったリンス
実家は安い物で溢れていた。
ストレス解消からか、母はドラッグストアのお買い得品をいつも大量に買って来ていた。
たくさん買うのが好きなのか、千円以下のお買い得品を幾つも買って来るという買い物の仕方だった。
狭いお風呂場に常時シャンプーとリンスが3種類も4種類もあった。使い切る前に次の物が出され、使い切られることのないリンスはいつも余ったまま、捨てられもせず容器にはカビが生えていた。
数を減らしたいと提案してみてもだめだった。家族の中でカビが気になるのは私だけだったようで、疎んじられた。容器を洗ったり、シャンプーとリンスをきれいに並べるだけでも、細かい、神経質って怒られた。
使い切れない量が置いてあるし、古くなっているし…と判断し捨てると叩かれ怒られて、容器に半分くらい残ったリンスが山のようにあった。
髪に使ったという体で少しずつ捨てていたけど、私が実家を出てからは誰も捨てる人がいなくなったんじゃないかと思う。
実家を思い出すと、お風呂場の大量のリンスが浮かんでくる。